【ゲームのお話】「オープンワールド」と「自由度」ってなんなんだろうという話 その②

 

Ainowo
こんにちは、Ainowoです。

 

はい、「オープンワールド」と「自由度」についてのお話の続きです。

前回は「オープンワールド」≠「自由度が高い」ということについてお話ししたので、今回は「ゲームの『自由度』とはなにか」という点にフォーカスして話をしていきます。

前回記事

【ゲームのお話】「オープンワールド」と「自由度」ってなんなんだろうという話 その①

2018年12月9日

目次

ゲームの「自由度」はどこに宿るか

さて、今回もゲームの自由度について、架空のゲームをシミュレートしながら探ってみましょう。

今回は前回とは逆にとてつもなく狭く何もない部屋からスタートしてみましょう。

プレイヤーは狭い部屋の中を狭いなりに自由に移動することができます。

もちろんこれだけではゲームとして成立しないので、目標を定めましょう。

部屋の中に1つのアイテムを置き、それを獲得することを目標としましょう。

もちろん、部屋の中にただ置くだけではすぐに拾って終わりです。

なので、このアイテムは大切に宝箱に保管しておき、錠前をかけておきましょう。そして、カギを同じ部屋の別の場所に置いておきます。

このカギもただ置いておくだけではすぐに拾われてしまうので、これも隠しておきましょう。狭い部屋の中にたくさんの家具類を置いておき、引き出しの1つに隠します。

これにより、部屋の中から隠されたカギを探し、宝箱を開けてアイテムを手に入れるというゲームが完成しました

ですが、このゲームに「自由度」があるかといえば、そうとは言えません

では、このゲームに「自由度」を与えるにはどうすればよいでしょう。

まずは、このゲームにハンマーを用意しましょう。

このハンマーを使うことで、宝箱そのものを破壊して中のアイテムを入手することが出来ます。このハンマーも同じ部屋の中に隠しておきましょう。

これで、プレイヤーはカギを見つけて錠前を開けるか、ハンマーを見つけて宝箱を壊すかという「選択肢」が生まれました。

今度はこの「選択肢」を増やしましょう。

次はピッキングツールを用意して隠しましょう。このピッキングツールにより、錠前を無理やり開けることが出来ます。

もう1つ、今度はNPCを配置しましょう。このNPCはカギを持っており、話しかけて適切な選択肢を選んで会話を進めることでカギを譲ってもらうことが出来ます。

また、譲ってもらうことが出来なくとも、カギの隠し場所のヒントを教えてくれるとします。

さらに、かなり物騒なゲームになりますが、このNPCを殺害することで無理やりカギを奪うことが出来るとします。

さて、どうでしょう。

ゲームの内容としては、フィールドが狭い部屋たった1つで、目的もアイテムを手に入れることのみです。

しかし、そのアイテムの入手方法に多くの「選択肢」があります

このゲームと、前回シミュレートした、オープンワールドをただただ歩き回って敵を倒すゲームのどちらに「自由度」があるかと言われれば、今回の狭い部屋のゲームの方が「自由度」があると考える人が多いのではないのでしょうか。

では、この「自由度」とは今回のゲームのどこに宿ったのでしょうか。

「選択肢」と「リアクション」

ずばり、ゲームの「自由度」とは「選択肢」と「リアクション」により成り立っています。

「選択肢」がゲームの「自由度」に寄与することに関しては想像がしやすいと思います。

出来ることが1つしかないゲームと、出来ることが沢山あるゲームでは、出来ることが沢山出来る方が「自由度」が高くなることは明白でしょう。

ですが、真に重要なのは「リアクション」の方です。

「リアクション」とは、プレイヤーの行動(=アクション)に対するゲーム側の「反応」のことだと理解してください。

なぜ、「リアクション」が重要なのかを説明していきます。

先ほどシミュレートしたゲームをまた用いましょう。

先ほどのゲームでは「NPC」が登場し、プレイヤーが「会話」により「カギ、あるいはカギの情報を得る」か、「殺害」して「カギを奪う」ことが出来ました。

この「会話」と「殺害」が「選択肢」にあたり、「カギをくれる」「カギの情報をくれる」「カギをドロップする」が「リアクション」にあたります。

もしも、NPCに対し、「会話」も「殺害」も出来たとして、NPC側の「リアクション」が「ただ挨拶を返すのみ」「殺害してもなにもドロップしない」としたらどうでしょう。

NPCに対するプレイヤーの「選択肢」はどれもゲームに対して無意味になり、NPCはただの置物と同じになってしまいます。

また、先ほどのゲームの「ハンマー」についても、たとえそれを使用したとして宝箱を「破壊」することが出来なければ、全くの無意味になります。

つまり、プレイヤーの出来る行動=「選択肢」をいくら増やしたところで、それに対して適切な反応や報酬=「リアクション」がなければ、全くの無意味になります。

というわけで、「自由度」の高いゲームとはすなわち、プレイヤーのとれる「選択肢」が多く、かつその「選択肢」に応じた「リアクション」を返してくれるゲームということになります。

「オープンワールド」と「自由度」の関係とは

さて、これでゲームの「自由度」の正体はわかりました。

では、なぜ「オープンワールド」は「自由度」と密接な関係にあるのでしょうか。

これも先ほどの「選択肢」という考え方を用いれば自明ですね。

「オープンワールド」は移動に制限がない(原則)ので、プレイヤー側に移動に関して無限の「選択肢」を与えてくれるからです。

そして、なぜ「オープンワールド」が必ずしも「自由度」を高めないかも説明が出来ます。

それは、「オープンワールド」が与えてくれた移動の「選択肢」に対して適切な「リアクション」がない場合です。

例えば、「オープンワールド」のフィールド上に一軒の家があったとします。

もしも、この家に侵入したい場合に、単純に玄関から入るだけでなく、近くの高台から屋上に飛び降りて侵入したり、少し離れた場所に地下道の入り口がありそこから侵入できるとしたら、「自由度」が高いと言えるでしょう。

しかし、どれだけ「オープンワールド」上を好きに移動できたとして、その家への侵入が玄関のみからしか出来なければ、その点に関する「自由度」は低いと言わざるを得ません。(ただし、玄関からしか侵入できないことは悪いことではありません。ゲームの進行上どうしても侵入を制限しなければならない場合や、侵入のルートを制限することによって成り立つ遊びも存在しうるからです。)

というわけで、ゲームの「自由度」と「オープンワールド」は移動の「選択肢」という点で密接な関係にあり、それに対する「リアクション」という点で必ずしも自由度が高くなるわけではないのです。

終わりに

2回にわたり、「オープンワールド」とゲームの「自由度」について語ってまいりました。

とはいえあくまでこれは持論なので、反論等あるかと思います。あくまで「※個人の意見です」というスタンスでお楽しみください。(最後に言うことではない)

そして、「選択肢」と「リアクション」を用意すれば「自由度」が高くなるのなら、どのゲームも増やせばいいじゃん!という意見もあるかと思いますが、これはかなり難しいんですよ……。

プログラムとしても、毎回複雑な場合分けが必要になりますし、もしもテキストを表示するならば用意した「リアクション」の分だけテキストが増えます。そして、そのテキストにボイスがついていたらそれも必要になります。また、「リアクション」同士が複雑に絡み合うと先ほど述べた通りプログラミングのコストも爆上がりしますが、デバッグのコストも非常に増大します。

一言でいえば、わかっちゃいるけど難しい。

のです。どれもこれも、予算も人員も無限にあればよいのですが、そういうわけにもいかないわけで……。

最後にそんな世知辛いことを述べて、今回は終わりたいと思います。とにかく、今回の記事を通して言いたいことは、「オープンワールド」というだけで「自由度」が保障されていると思うのはやめよう!「オープンワールド」はゲームの「自由度」を高めるための手段の1つだよ!というお話でした。ではでは。

Ainowo

関連記事

【ゲームのお話】「オープンワールド」と「自由度」ってなんなんだろうという話 その①

2018年12月9日

YouTubeの面白動画を紹介するだけ【閲覧注意】

2018年12月2日

【Fallout 76】ちょっと触ってみた感想

2018年11月19日

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です